編集者「この漫画で伝えたいことって?」【漫画のストーリー、オチについて】

編集者「この漫画であなたは何を読者に伝えたいの?その辺考えてから漫画描いてる?」

というようなことを編集者さんから言われて悩んでる方・・・いますよね・・・(実際に配信で質問いただきました)
う~伝えたいこと?主題?そんな大層なもんを掲げる必要が・・・?

しかし漫画家は漫画の品質を常に向上させることを止めてはいけません。時には人に言われたことを直す必要もあるでしょう。 ですが私が編集者なら上記の質問はしません。抽象的な指摘は時に漫画家を迷走させます。 だから、もう一段具体的な提示が必要です。例は以下の通りです

編集者「オチが見えぬ。適度にオチを入れよ」
わかりました!王道パターン、いきます!
とどのつまり主題がないと言われることの原因は
・画力や表現力などの漫画クオリティが低く、ストーリーに必要な要素が伝わってない
・王道的ストーリー展開ではない
に尽きると思います。
前者はちゃんと指摘してもらったり自分で読み直したりしてトライ&エラーを繰り返してください。
後者はストーリーの起伏を作れという事です。こっちが原因だった場合が今回のお話です。
起承転結と言ってもいいですが、簡潔に言うと、
オチたか(オチがありそうか)

という読後感に関わる重要な要素が不完全であったということです。
飲み会で上司の「オチのない話」を延々と聞かされるの辛いですよね。アレです。

短編か長編かによっても変わりますが、長編であったとしてもちょくちょくオチっぽいものを挟まなければ読者は飽きます。 もっというと読者が既に知っている物語の起伏に該当していれば、面白いか・面白そうかと判断ができるのです。

では、
読者が既に知っている物語の起伏とは?
という点ですが、大体パターン化されています。
その説明には「時間-感情の折れ線グラフ」で示すことのできるアレが非常に便利です。

新海監督の人気作「君の名は。」でもストーリーのブラッシュアップに使われたそうです。

このグラフの有用性について調べたい方は優良記事に外部リンク貼っておきます。

小説のストーリーラインの感情変化を分析すると定番の方程式が明らかに
●物語の作り方は6つしかないことがビッグデータ解析で判明

これを漫画ストーリー用に簡略化してオチまでの流れについてパターン化します。
簡潔な内容なので、上記の外部リンクを見なくても理解できます。

王道パターン

 

超重要(逆にこれ以外を使うのは茨の道)

基本構造は
・何かに挫折して下がる
・新しい出会いか何かをきっかけに変わる、努力する
・壁を乗り越える!最初より幸せになり(何かを解決し)END!
という理解でよいと思います。

友情!努力!勝利!

スポーツ漫画は大体これになります。長編であってもこれの繰り返しです。

オチが約束されているこのパターンは、主題的な何かがなんかとてもありそうな気がするので、大層な存在理由や主義主張を問われることはありません。逆にこのパターンでないと、その辺を問われる覚悟が必要です。(その問答は理屈で勉強してきた漫画家には逆効果なので問われないのが一番ですが)


バトルもの、スポーツ・部活ものを描いていて少しもこのパターンに当てはまってない人、要注意です。オチありそうですか?オチてますか?

(このパターンを使わずに主題を問われないスポーツ漫画が描ける人はこのページを見てないと思いますので!)

漫画を最後まで読まずともその前に盛り上がりがうにょうにょしてるだけで、
あ、オチありそう
となれますので、読者は安心です。うにょうにょするだけで読者はこのパターンを予想します。

ただ、読者に前フリをきっちり理解させることができたなら、読者は

・(上に向かった時)おほっ!でもこの後下がるねんな?
・(下に向かった時)おほっ!でもこの後上がるねんな!?

と期待します。大体の場合において、それに応えなければなりません。
ただ、私達は漫画家なので、それを裏切りたくなります。その場合、

・(下に向かった後、更に下がった)うわあぁ!でもこの後もう流石に上がるねんな!?
・(上に向かった後、それが続く)えっえっ、なんか不穏やねんけど・・・

という感じで焦らすこともできます。しかし、基本的には応えなければなりません。
でも・・・

それじゃあよくある量産型の漫画しかできないじゃん!どっかで裏切らないと!
と思うかもしれません。しかし私たち漫画家が頭を悩ませる時間は、読者を裏切って新しい展開を提示することに使いすぎてはいけません。
(そういうのがやれる人は自覚していると思うので各自好きにやってください!例えば、どう見てもヒロインの女の子がすぐ死んじゃうとか、初手裏切りから始まるストーリーなんかはよく使われてますし、ストーリー初手は研究したいテーマの一つですね!)

私たちが優先的に工夫すべき領域は、読者の想像外の方法で読者の期待に応えることなのです。


そもそも読者が想像できる次の展開、漫画家が想像できないわけがないですよね。
だから、それを裏切りたい。裏切ることもあっていいと思います。
しかしあなたが量産型の漫画を嫌い、それに対して頭を悩ませる覚悟と時間があるならば、

グラフ上好転するか悪化するかどうかは読者の期待に応えつつも
展開の内容自体は読者の想像の斜め上を行く!(伏線も回収する!)

ことを目指すという、そういう難しい命題に取り組めるようになると全体的な物語の品質向上につながりやすいと思います。
読者の期待を裏切ることは相当の転換点でのみ許されるものだと思いますので・・・

ゴン君はこの試験を突破するだろうけど、なんか読者の想像とは違った手段で突破したいな~・・・そや!壁を素手で壊したろ!
私の大好きな漫画「HUNTER×HUNTER」なんかは通常運転でこの難しい命題をぽいぽいクリアしてきます。すごすぎるだろ・・・

ちなみに私はあまりできません。偉そうに教えてすみません。
ただ、わりと一般的な話を簡略化して主観の元に説明しただけなので、汎用的な知識と思って切磋琢磨していただければ確実にあなたの力になると思います。

あと伏線は最初期もしくはグラフがうにょうにょしている間に仕込んでおきましょう。それを回収するだけでオチた感が強固になります。
主人公は非現実的な成功をしたように見えたけど影には誰々の助けが実はあった!みたいなのが伏線貼られていると合理的かなと思います。
仕込み忘れてたとしても、挫折前の主人公とそれを乗り越えた主人公の比較ができるコマを挟み、成長具合を描けば伏線回収になります。便利!

オチの例をちょっと考えてみました。悩んだらどうぞ。

「成長はしたけど○○が苦手なのは相変わらずだな!わはは!」
ギャグ系で使いやすいですね。

「俺たちの戦いはこれからだ!
汎用性があるけどちょっと打ち切り臭がしなくもないですね。続けば万事OK!
「戦いの日々は終わった。でも・・・」
大団円。主人公の平穏が戻ってきたけど別れもあった。そんな中、戦いの日々に見つけた大切なものを日常の中に見つけてEND。少し切ないですね。

「二人は結ばれた」
紆余曲折を経てすれ違いが解消された!お幸せに!

「二人はそれぞれの道を征く」
問題を解決した!そしてバディとの別れ。しかし必ず明るい未来が待っている。

「託された未来」
失ったものは大きかった。しかし私は、私達は、残されたこの子のために未来を生きるのだ。

「新時代の幕開け」
託された未来から○○年後――。新しい時代を生きる皆の幸せな様子がそこにはあった。
「仲間になった!」
敵だとしても見捨てることはできない!俺は全てを救って見せる!救ったら仲間になった!

「運命は変えられなかった」
グランドフィナーレ!・・・その後、分かっていた別れはやはり訪れた。しかし私達は忘れない。おや?この手紙は・・・

「ストーリーテラーが〆る」
ハッピーエンド。この物語の語り手が物語の感想を呟くことで〆とする。”時は○○時代!”で始まったなら”○○時代の終焉”を歴史に刻んで次の時代を予感させよう。
「脇役が〆る」
主人公は犠牲になった。しかし俺たちはあいつが帰ってくると信じている。ほら、今すぐにでもひょっこりとさ、何事もなかったかのように・・・え!?見えたか!?おい行くぞ!!おーーい!!!

以上です。
以下は王道パターン以外を描くこともあるかもしれない!という方のみどうぞ。

 

その他のパターン

・不幸
読者「努力が報われたりとか現実的じゃないしさ、そもそも悪い部分が罰されるのが当然じゃない?」
期待に応えます!


例:SchoolDays
最終的に救われない。特に主人公が罰されて終わる。
個人的には推奨しません。
しかしネガティブな話題・内容は人の目につきやすいという性質があるため、それを利用できる人はこのパターンで戦えると思います。

・日常
読者「とにかく楽しくありたいんだ。仕事帰りで疲れてるしさ」
期待に応えます!

起伏と言うより、「なんだかんだ言って良い人しかいない」というのが特徴。
読者は安心して物語を楽しめます。その代わりキャラが本当に魅力的である必要があります。

魅力的なキャラを作るということを奥義にできたならそれで物語を極めることができるということですね。

起伏はあってもやさしい世界であること。エンディングが近づくと起伏がある場合もあります。
「たつき監督を信じろ」ポイントを作るということです(楽しい日常に立ちはだかる壁を作ります。それを突破します)

・俺TUEEE
読者「めんどくせえから快感だけくれ!仕事帰りで疲れてるしさ」
期待に応えます!

立ちはだかる壁も俺特有の能力で乗り越えてステップアップ!
ただ日常系と同じでキャラクターが魅力である必要があると思います。
面白い能力を駆使したり性格が魅力的、とてもえっちな女性キャラなど、
「読者を疲れさせずに気軽に楽しめる」環境を整えることが必要でしょう。

個人的には、日常系+俺TUEEEみたいな感じで
「いい人しかおらず、主人公が努力家で努力が必要以上に報われる」
みたいなの、好きです。

最後に

漫画の場合はやはり友情!努力!勝利!が強いと思います。
あとはどういう話の流れでどのようにオチ作るか、その属性を色々頭を悩ませましょう。

物語の属性も基本パターンが決まっています。
この辺りは(映画用)シナリオ勉強本の名著「SAVE THE CATの法則」で語られています。
この本では以下のような内容で物語の属性(ジャンル、ひな形)をパターン分けしています。
書籍に丸投げではアレなので軽く紹介しておきます。

・家の中のモンスター
 閉鎖空間でサメとか出た!

・金の羊毛
 何かを求めて旅にでる。(最終的にそれは見つからないが、もっと大切なものを得る)BTTF

・魔法のランプ
 願いがかなう!?が、その周りの騒動に巻き込まれる!

・難題に直面した平凡な奴
 読者にすら起こりそうと思わせるような普通の状況から突然の難題が降りかかる!

・人生の節目
 思春期・・・恋をして、老後・・・死に直面して・・・人生の節目に降りかかる壁を乗り越える話

・バディとの友情
 奇妙な組み合わせの二人組が試練を乗り越える!そして別れ。

・なぜやったのか?
 不可解な事件がおこる。それにはどんな陰謀が含まれているのか・・・

・バカの勝利
 愛と勇気と希望を持つバカは体制を困惑させ、その枠組みを超えていく!フォレスト・ガンプ

・組織のなかで
 組織に新規配属された新人の視点からそのイカれた実体が明らかになっていく・・・

・スーパーヒーロー
 難題に直面したスーパーなやつ ヒーローであるが故の葛藤や魅力などをどうぞ

興味があれば読んでみるといいと思います!

以上です。長文でしたがここまで読んで頂きありがとうございました!

なお、私の同人誌は当然王道パターンがメインとなっております。(読者様からキャラクターを幸せにしてくれ頼む~などのメッセージをいただくこともありますが、ごくまれに裏切って読者様方を泣かせることがあります。あまりやらない方がいいと思います
王道パターンなのか!?どうなのか!?とドキドキする内容になっていると思いますので、どうぞ読んでみてください。

 

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